コミティア152で文庫の同人誌を出した
6月1日、日曜日。 朝早く起きて東京ビッグサイトに向かった。 同人誌を書いたので、頒布しに行くのだ。
遡ること数か月前、「同人誌を作ってみませんか?」と知人から誘われた。 その知人は、この個人サイトを読んでくれており、文章が良いので何か書いてみたらどうか、ということで自分を誘ってくれた。
ちょっと悩んだ、何を書こうか。 何か一つのテーマについて延々と論じたり、分析したりといったことはなかなか疲れる。 小説などの創作はやりたくはあるけど、アイデアがない、それに魅力的に書けなかったら自己嫌悪と羞恥心でびりびりに破いてしまいそうだ。
何かないか、自分でも書けてよさそうにまとまるやつ……。 そういえばもともとの話、知人はこの個人サイトを読んでくれて、そこに魅力を感じて誘ってくれたのだ。 じゃあもう今まで書いた文章と、それの振り返りの文章が、一番素直で良いんじゃないか?
ということで、題材は、この「花園シャトー」の今までの文章と、それの振り返り、に決まった。 これなら自分でもできそうだ。 形式はどうしよう、と思ったが、以前からあこがれていた、文庫サイズに決めた。 以前のコミティアで見かけた文庫サイズの小説同人誌がかなりいい出来で、こういうのを作ってみたいと思っていた。
コミティアは数ヶ月後、余裕をもって入稿できそうだな。
が、しかし、なんと同人誌というやつは意外とやることが多いということが、作業を進めるとともに発覚した。 表紙、カバーのデザインをする必要があるし、本文の文章はともかく、本文のレイアウトを決める作業もあった。 しかも、印刷所の関係で、表紙とカバーはPhotoshop形式もしくはIllustlator形式で提出する必要があるらしい。
とりあえず、本文はLuaLaTeXで組むことにした。 大学時代から使っていて慣れていたし、別の友人もLuaLaTeXで文庫サイズの縦書同人誌を過去に出していたのを知っていたからだ。 本文のレイアウトは、少し力技で調整した部分もあったが、わりかし早い段階で完了した。
また、別のつながりで、Y.S.さんという方に挿絵を描いてもらうことになった。 挿絵の題材は、色々悩んだが、最終的には自分のなじみのあるつくば市の風景にしようとなった。 ちなみにこの題材選びは、自分があまり方針を決めていなかったのでかなりグダグダになってしまった。 Y.S.さん、すんません。
表紙、カバーのデザインは、最初はGimpでやろうと思っていたが、カバーの絵を書くのにどうしても不便だったので、結局Clip Studioを契約してiPad上で絵を書いた。 絵以外は色々とGimpのほうが使い慣れていたので、Gimpで作業した。 これが一番時間がかかり、持ち前の集中力のなさも相まって、二週間くらいかかった。
結局仕上がったのは、入稿日の数日前だった。
そんなこんなで、何とか入稿して待つこと一週間。 コミティア開催一週間前に、同人誌が詰まった段ボール箱が、印刷所から宅配便で届いた。 いざ開けて確認してみると、予想よりも良く仕上がっていて、自分でも惚れ惚れしてしまう出来だった。 表紙の質感と本文の紙の材質が特に良かった。 表紙はマットコート紙というもので、本文の紙はプリンセスノベル紙というものを使った。 何部印刷するとちょうどいいか、今回は加減がわからなかったので、20部印刷した。 でもこの出来なら、きっと10部くらいは捌けてくれるだろうと思った。
そして当日である。
当日は、「同人誌作ってみませんか」と誘ってくれた知人と同じサークルで頒布した。 九時半くらいから準備を開始して、おしゃべりしつつ十一時の開始まで待った。 そして開会のアナウンスと拍手が流れ、第一陣の方々がダッシュしているのを見ながら、捌けるといいなとソワソワしていた。
しかし現実は残酷である。 ネットの片隅でこそこそと文章を書いたものをまとめた文庫本など、誰が見向きをしようか。 また、得体の知れない本はコミティアという戦場で誰も相手にしないというのもあるが、そういうことをわかっていなかったので、真面目に宣伝文を考えたりせず、どんな本かほぼ全く情報を載せないまま、裸一貫で当日を迎えてしまった。 これだと誰も足を止めてくれないのも納得である。
十四時に引き上げたが、結局三部しか頒布できなかった。 しかも内訳としては、大学の知人とSNSのフォロワーさんという、なんとも身内感。 負けた……。
しかし、やらなければよかった、というわけではなく、やってよかったなと思っている。 同人誌を作る過程で、この個人サイトの今までの文章を振り返ることもできたし、納得いく形式で物理本として形に残せたのも大変良かった。 自分用に一冊確保してあるが、多分一生手放すことはないと思う。
それはそうとまだ余っているので、もし欲しい方がいたらご連絡ください。 500円+送料でお渡しできます。