作曲に入門してM3に出展した
ここ数ヶ月本サイトの更新が途絶えていたのは、色々とプライベートがあり、色々とプライベートがあったからだ。 人と交流を深めたり、逆に溝を深めたりもした、疲れた。
作曲活動、始まります
まあそれは大して面白くないので特に語らないとして、それと並行して六月くらいから作曲活動を行っていた。 以前から友人と「作曲したいよなあ」と呟くだけのやつをやっていたが、それではいつまで経っても作曲できるようにならないのである。 ケツに火を点けねば何事も成し遂げられない、悲しき生き物なのである。 我々は。
そういったことがあって、締切駆動での作曲入門をすることにした。 五月頃に目的もなく遊んでいた我々は、丁度良くM3を見つけたのでその場の勢いでサークル参加登録を申し込んだ。 今から音楽理論を勉強して、八月頃には作曲を行い、十月頭に完成、月末のM3に出展。 完璧なスケジュールだ。
まずは基礎から
さて、スケジュールには余裕がある。 まあ音楽理論でもチマチマ勉強するか〜と本屋に行った。 そこで二番目に簡単そうな、音楽理論の本を選んだ。 一番簡単な本は、プライドが許さない。
家で寝っ転がりながら、パラパラ開いて流し読みした。 なるほど、こんな感じか。 一週間位かけて、ダラダラと読んだ。 よし、コードとその理論は理解したぞ。 この時点で大体七月くらいだった。まだ余裕あるな。 モチベも若干下がってきたり、体調も崩したりしたので、若干作曲活動が滞った。
いざ作曲
そうこうしているうちに八月になった。 そろそろ作曲するか、と思い、夏季休業期間に合わせて集中的に作曲活動を行うことにした。 まる一週間の休暇、全て作曲につぎ込んでおけば、一曲くらいできるだろうと思った。
さて、夏季休業期間、作曲してみたが、重大な問題にぶち当たってしまった。
メロディーが思い浮かばないのである。
コードは本で勉強したから、ある程度は理解できるし、なんとなく典型もわかっている気がするが、メロディーがとんと思いつかない。 これは困ったことになったぞ。
流石にまずいと思ったので、友人氏に助けを求める。 友人氏は過去に作曲活動を行ったことがあるのだ。 中学校の頃は吹奏楽部でもあり、音楽的なバックグラウンドが深い。 その友人氏から、「対位法」から攻めてみるのが良いのではないかという話を聞いた。 対位法とは、主旋律、つまりメロディーと対になるような副旋律を考えることで作曲をしていく、というものだ。 その時自分が抱えていた悩みは、メロディーが単純で、自分のイメージするかっこいい複雑なメロディーにならない、というものだった。 考えついたメロディーが単純なら、副旋律を考えて付け足してやることで重層的なメロディーになるのではないか?ということだ。
そこから毎週末、集まって対位法のテキストを読んで、テキストの課題を実践してみる、といった練習をした。 作曲をしながら対位法のテキストを行うのは、初心者の自分にとってはかなり負荷が大きく、ヒーヒー言いながらやっていた。
その甲斐もあり、九月に入る頃には、なんとなく一曲目ができてきた。 対位法を使っても重層的とは言い難い出来だったので、発想を転換して、メロディーがそこまで主張しない、イージーリスニングな曲に仕上げるようにした。 そうしたら、ある程度は納得の行く曲に仕上がった。
そうしてその後、同じような感じで二曲目も無事仕上げることが出来た。
実は今までの作曲は全てテキストエディタで行っていました
ここまで作曲の手法について書いていなかったので書いておくと、友人氏とM3に出展するにあたって、一つだけ取り決めがあった。 それは「PC-98のFM音源を用いた作曲」にしよう、というものである。
PC-98についての解説は割愛する。 エロゲーとかあった昔のパソコンです。 エルフとかアリスソフトとか。
自分も友人氏もFM音源が好きだったので、それで作曲しよう、ということになった。 最初は、DAWで作曲して、それをなんとかしてFM音源の曲に仕上げよう、と思っていたのだが、DAWのうまい使い方がいまいちわからなかったし、また音色もなんかイメージしたものと違うので、これはもう最初からPC-98で鳴らしつつ作曲したほうが良いのでは?となった。 なったので、MMLにも入門した。
この記事を読んでいるお宅は知っているかもしれないが、MMLの説明もしておく。 Music Macro Languageとは、例えば以下のようなものである。
c4d4e4f4 e4d4c2
見ての通り「カエルの歌」だ。
見えないって?
ほら、 c がドで d がレみたいなやつで、 c4 って書くとドの四分音符になる、みたいな……
要はテキストで音楽を記述できるやつだ。
ジャパンのイケてるPC-98コンポーザーはみんなMMLを書いていた。
海外ではトラッカー文化だったかもしれないが、日本はMMLだ。
MMLをMMLコンパイラでコンパイルすると、バイトコードになる。
FM音源ドライバはそのバイトコードを読み、いい感じにFM音源チップに in 命令とか out 命令とかをして、データを書き込んでいく。
すると、ヤマハの音源チップが頑張って、音が鳴るわけだ。
コンパイラとFM音源ドライバは、PMDと呼ばれるものを使用した。
有名なやつなので、調べるとすぐ出てくる。
最近(数年前だが)更新もあった。
GNU Emacsで作曲ができるなんて、便利な世の中だ。
MMLの文法に沿って命令を書き、コンパイルし、ドライバに渡して鳴らした。 各種ソフトはDOS用なので、エミュレータを用いた。 エミュレータはWindows用なので、wineで動かした。 手作業が面倒だったので、プログラムを書き、自動化した。 これがおれたちの令和最新版の作曲方法だ。
M3出展
その他にも色々出来事はあったのだが、そのへんは友人氏が書いてくれるだろう。 疲れたのでM3のことを手短に書く。
M3当日は旅行バッグにCDやらバッテリーやらを積んで会場に到着した。 バッテリーを積んでいるのは、友人氏がPC-98実機を持ってきたので、それの電源として使用するためだ。 なんと友人氏は作曲と並行して、PC-98実機再生プログラムを組んでいたのだ。
設営を行い、M3開場中はPC-98実機演奏を行った。 最初はあまり人が来なかったが、正午を過ぎると物珍しさからか、ちょくちょく人が寄り付くようになってきた。 そして、二時頃には製造してきた十五枚のCDが完売するという、大変な事態になった。 完売してからも、実機演奏には人が寄り付いており、やはり実機の魅力というのは大きいのだと感心した。 PC-98の各種を進めてくれた友人氏、ありがとう。
今後は
正直五枚売れるかどうかと思っていたので、意外と反響があって驚きと嬉しさがある。 帰りの電車内で友人氏とも話して、今後も作曲活動を続けていけたらいいねとなった。 実際、生みの苦しみはあったが、有意義に活動できたと思うので、せっかくの機会だし、作曲活動は今後もぼちぼちやっていこうかと思っている。 もちろんMMLで、FM音源だ。